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アイスクリーム王子 [王子飼育日記]

とあるところに、ひとりの王子がいた。

王子とはいっても、盛りの頃は去り

王様とお呼びしても差し支えのない貫禄と、恰幅があった。

王子はアイスクリームが好物だった。


ある日、仕えの下女が王子に、とあるアイスクリームショップのチラシを差し出してこう言った。

そのチラシには、31種類のアイスクリームが載っていた。

「王子、この中で6種類だけを選ぶとしたらどれを選びますか?」

王子は、チラシを受け取り6種類のアイスクリームを選んだ。

メロン、チョコ、バニラ、プリンなどなど、下女が考えていた通りのものを

王子様はお選びになった。

もちろん下女も密かに選んでいたが、王子と共通して選んだものはなかった。

そして下女はまたもこう言った。

「王子、この中で更に3種類に絞るとしたらどれにしますか?」

王子はチラシに目を落とし、しばし真剣に考えて3種類を選び出した。

今度もまた下女が考えていた通りのものを選ばれた。

そして翌日のこと、王子は下女に向かい突然こう言った。

「昨日選んだアイスは、いつ買いにいってくるのじゃ?」

「え?・・・・」と下女は驚いた。

王子はどうやら、下女がアイスを選ばせたので買ってくるものと思い込んで

期待して待っていたらしい。

下女は笑いながら答えた。

「そんな高いもん買うか!」

王子はすっかり落ち込んだ。


貧乏な家に生まれ育った下女は、買うことが出来ない現実とどうしても欲しいという欲求を

チラシの中から選んで買ったつもりになるという空想で乗り切ってきた。

王子にはそれが理解できなかったらしい。

下女は今度から、『買わないけれど』と付け加えることを忘れないようにしよう!と心に誓った。


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